引き寄せの法則のプロジェクトマネジメント(PMBOK)への適用(プロジェクト成功のために)

1.はじめに

ソフトウェア開発プロジェクトの課題は、プロジェクトの主要目標(品質、スケジュール、コスト)の達成率で見ると30%以下という調査結果が出ているように成功率は非常に低いことである。
プロジェクトの成功確率を上げるために、一般的に認められているプロジェクトマネジメント知識体系(PMBOK)をプロジェクトマネジメントに適用することが多く実施されている。
問題を多く抱えたプロジェクトと途中で中止されたプロジェクトの主要要因の分析結果から、PMBOKをただ単に適用だけでなく、成功の法則である「引き寄せの法則」を理解し、PMBOKと一緒に適用すれば、プロジェクトの成功確率はさらに向上すると思われる。


2.プロジェクトの成功と失敗について


ソフトウェア開発プロジェクトの失敗と成功に関して事例を調査したCapers Jones著の「ソフトウェアの成功と失敗」によると、成功と失敗を決める条件として、の次の6項目を挙げている。
@納期スケジュールと出荷時期
A開発に要するコストと資源
B引渡し時の品質と信頼レベル
C運用開始時の学習の容易さと利用のしやすさ
D開発時の顧客支援とサービスレベル
E運用中のアプリケーションの変更・保守の容易性

調査の中で成功したプロジェクトの特徴はプロジェクトマネジメントと品質管理が優れていたと報告している。
反対に失敗したプロジェクトは不適切なプロジェクトマネジメントと不十分な品質管理に起因している。この失敗プロジェクトをさらに詳細に分析し、問題を多く抱えたプロジェクト、中止されたプロジェクトの2種類に分類し、その結果の分析をしている。

1)問題を多く抱えたプロジェクトの主要要因

@ユーザの参加不足
A要求・仕様が不十分
B要求・仕様がよく変更になる
C経営者側からの支援不足
D技術的能力の不足
Eリソースの不足
F現実的でない期待
G不明確な目的
H現実的でない納期
I全く実績のない新規技術

@ABFGはプロジェクトへの要求に絡んだ問題で、上流工程の要件定義段階の重要性を改めて浮き彫りにしている。
これはプロジェクトを失敗させないために、要件定義段階で十分なニーズを引き出し、明確な要求仕様書としてまとめることができるか否かがプロジェクトマネジメントの重要な要件となる。
また、CDEHIは、プロジェクトマネジャーが十分なスキルと経験をつみ、リスクや課題を進んで明らかにし、それらの対策を積極的に取組んでいけば、十分回避できる問題である。

2)中止されたプロジェクトの主要要因

@要求が不完全
Aユーザからの参加不足
Bリソース不足
C現実的でない期待
D経営者からの支援不足
E要求や期待がよく変更になる
F計画における考慮不足
G開発途中で、もはや不要になった
Hプロジェクトマネジャーの不足
I技術的能力不足

ここでも@ABCEはニーズをもっているユーザに関連する項目であり、潜在的ニーズを含めて、ニーズを効率よく引き出し、要求仕様書としてまとめられるである。これもプロジェクトマネジャーの力量が問われる項目である。

以上のプロジェクトの失敗原因を総合的に分析してみると、プロジェクト立上げ時からプロジェクト計画時のプロジェクトスコープ記述書にいかにまとめ上げるかと、その記述書をベースにプロジェクトマネジメント計画書を作成し、それを基にプロジェクト成功に向かって、リスクと課題を進んで明らかにし、原因と解決に積極的に取組んでいけば、十分回避できる問題である。

3.「引き寄せの法則」の適用のヒント

引き寄せの法則」とは、自分が注意と意識とエネルギーを向けるものは、良いものも悪いものもすべて自分の人生に引き寄せるという法則である。
良いものとは気持ちがプラスに感じる感情で、「喜び、愛、興奮、豊富、誇り、気持ちが良い、自信、穏やかな気持ち」の感情で、悪いものとは気持ちがマイナスに感じる感情で、「落胆、孤独、欠乏、悲しさ、混乱、ストレス、怒り、苦痛」の感情である。人は一瞬一瞬つねに感情や気分を抱いており、引き寄せの法則は同じ感情に反応する。感情は、自分の思考によって、プラスの感じたり、マイナスに感じたりする。
したがってプロジェクトを成功させるために、まず、プロジェクト成功時のイメージを画きながらプロジェクトの目的、目標を明確にし、プロジェクト期間中絶えず物事をプラスに考えるように思考し、それを実行していけば、引き寄せの法則はそれに反応し、プロジェクトを成功に導くことになる。

プロジェクトの目標の設定−−>引き寄せの法則の適用(肯定的な思考と行動)−−>プロジェクトの目標の実現(成功)

そして日々、次のようなことを意識して行動する

  1.何事にも感謝する気持ちを持つ
  2.肯定思考(プラス思考)を心がける
  3.リスク、課題に対して創造力を使って取り込む
  4.自分の望む思い、ビジョンを可視化し、実現を確信する
  5.プロジェクトステークホルダーに愛情をこめて対応する
  6.笑顔を忘れない
  7.自分の価値を信じる
  8.マイナスの考えを思考よりプラスに変える

4.引き寄せの法則のプロジェクトマネジメント(PMBOK)への適用

プロジェクトを成功させるために、「引き寄せの法則」をプロジェクトマネジメント(PMBOK)に適用する。
引き寄せの法則の適用ステップはつぎのとおりである。
1.願望を特定する
      願望の明確な目標設定を行う。
      目標が明確になってはじめて、実現に至る道筋が見えてくる。
2.自分の願望に注意を向ける。
      引き寄せの法則は、注意と意識とエネルギーを向けるものを、より多くもたらす。
      願望を特定しても注意と意識とエネルギーを向けなければ実現しない。
      願望宣言を「肯定的な言葉で」、「具体的に」、可視化し、明確にして、宣言する。
3.受け入れる
      「受け入れる」とは疑う心がないことである。
      必ずできると心から信じ、行動すれば現実のものとなる。
      物事を前向きに捉えるプラス思考が目の前の事態を好転させる。
      自らの思考を前向きで建設的な方向へコントロールする

第1ステップの「願望を特定する」が、これは、プロジェクトマネジメントプロセスの立上げプロセスにおけるプロジェクト憲章作成プロセスにあたる。このプロセスでは、ユーザのニーズを明確にし、プロジェクトの目的、目標、成果物、制約条件、前提条件、初期リスクをまとめてプロジェクトで実施したいことをプラス思考で考察してプロジェクト憲章として文書化してプロジェクト完成時の姿とそれを完成するまでの概略な道筋を立てる。

プロジェクト憲章例
 1.ステークホルダーの要求、期待、役割、性格、嗜好
 2.ビジネスニーズやプロジェクトの背景
 3.プロジェクトの目的や妥当性
 4.プロジェクト成果物とその要求仕様
 5.概略スケジュール
 6.概略予算
 7.前提条件
 8.制約条件
 9.初期リスク

第2ステップの「自分の願望に注意を向ける」では、上記プロジェクト憲章の内容を詳細化していき、具体的にプロジェクトスコープ記述書を作成する。それを基にプロジェクトを実行するためのプロジェクトマネジメント計画書を下記のような内容で作成する。そのときこのプロジェクトマネジメント計画書を見たときに、自分自身どのように感じるであろうか。
たとえばまだ不確定事項が多くリスクが大きなとネガティブに感じるか、それともしっかりした計画であるので、プロジェクトを目標どおりに完成できるなとポジティブな感情をいだくかのどちらかである。ネガティブな感情を持てば、なぜネガティブな感情が発生しているかの原因を考え、それに対して対策をして、プロジェクトの成功が見込まれれば、ポジティブな感情に変わる。
ポジティブな感情を持つ事ができれば、プロジェクトステークホルダーにキックオフなどでプロジェクトマネジメント計画書を明示、協力を依頼し、プロジェクトの成功を確信して実行を開始する。

プロジェクトマネジメント計画書例
 1.プロジェクトマネジメントレビュー計画
 2.スコープ記述書(プロジェクト憲章の詳細化)
 3.マスター・スケジュール
 4.WBS
 5.要素成果物納入計画
 6.スケジュールベースライン、コストベースライン
 7.プロジェクト体制(責任分担マトリックス、要員マネジメント計画書、組織図)
 8.コンフィギュレーションマネジメントシステム(変更管理システム)
 9.コミュニケーションマネジメント計画
10.品質マネジメント計画
11.調達マネジメント計画
12.リスク対応計画
13.課題管理計画

第3ステップの「受け入れる」では、作成したプロジェクトマネジメント計画書にしたがって、プロジェクト成功に向かっての課題を進んで明らかにしながら、課題の原因解決を積極的に取組んでいけば、ポジティブな感情となり、プロジェクトを成功がだんだんと確信でき、プロジェクトの成功を実現できる。
一方プロジェクトの状況を判断して、たとえばスケジュール遅れ等でネガティブな感情になれば、その原因を明確して、対策を打ち、ポジティブな感情に変えていく。こうすることによりだんだんと成功を「受け入れる」つまり成功を疑う心がなくなり、成功を確信して、成功を引き寄せる。プロジェクトを実行するに当り、絶えずプロジェクトマネジメント計画書を振り返りながら、進捗結果を見て、どのような感情になっているかを捉えて、ポジティブな感情になるよう行動すれば、プロジェクトは現実のものとなる。
プロジェクトでは必ず不確定要素が発生するが、「リスクは解決する、課題は解決する」と肯定的かつ建設的に前向きに捉えていけば、リスクや課題は解決できプロジェクトの成功は実現できる。
プロジェクト期間中感情に目をむけ、ポジティブな感情になるように行動していけば、プロジェクトの目標は達成し、成功する。

リスク登録簿記載項目例
 1.リスク発生時のWBS
 2.リスク事象
 3.リスク発生時の影響
 4.影響度
 5.発生確率
 6.リスク対応策実施優先順位
 7.リスク対応策
 8.リスク対応策実施予定時期
 9.リスク対応策実施責任者
10.コンティンジェンシー計画(リスク発生時の対応策)
11.リスクの状況(対応中、消滅、発生(課題))
12.リスク対応策実施評価

課題管理表記載項目例
 1.課題番号
 2.課題発生のWBS
 3.課題内容
 4.課題解決の優先順位
 5.課題解決策
 6.実施担当者
 7.実施時期
 8.課題状況(対応中、解決)
 9.課題解決策評価

プロジェクト成功のためにはプロジェクトステークホルダーの協力は必須である。
そのために、まずプロジェクトの立上げ段階に、今回関係するプロジェクトステークホルダーを特定し、プロジェクトでの役割、要求事項・目標、略歴と関心事、性格、コミュニケーションスタイル、関係強化のための活動計画等を分析した結果をステークホルダー管理表に可視化し、それに基づいた行動をとり、プロジェクト成功のための協力を得る。

ステークホルダー管理表記載項目例
 1.ステークホルダー名
 2.所属
 3.プロジェクトでの役割
 4.プロジェクトの目標・要求事項
 5.略歴と関心事
 6.性格
 7.好みのコミュニケーションスタイル
 8.関係強化のための活動計画、注意事項

プロジェクトの全プロセスにおいて、ステークホルダー管理表をベースに、次のようなことを心がけて、リーダーシップを発揮すれば、ステークホルダーから積極的な協力が得られ、プロジェクトの成功は実現する。

 1.ステークホルダーに、共感を持って対応する
 2.肯定的思考(プラス思考)を心がける
 3.プロジェクトの成功のため、自分がワクワクし興奮することに創造力を使って取り込む
 4.プロジェクト目標とプロジェクト状況をを可視化し、共有し、実現を確信する
 5.ステークホルダーに感謝と愛情をこめて対応する
 6.笑顔を忘れない

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